ハンバーガー屋は本当に儲かる？成功する店と潰れる店の決定的な違い

2025年5月9日金曜日

飲食業

ハンバーガー屋は本当に儲かるのか？

ハンバーガー屋は小規模な資本でも始めやすく、飲食業の中でも人気のある業態です。しかし、その一方で「開業したものの赤字続きで撤退した」という声も少なくありません。

本当にハンバーガー屋は儲かるのか？——この疑問を抱えている方は多いでしょう。SNSでバズっている店舗を見ると夢が広がりますが、実態はどうなのでしょうか。

成功する店舗とそうでない店舗には、明確な違いがあります。ポイントを押さえれば、個人でも十分に利益を出すことが可能です。

誤った準備や戦略のない開業は、高確率で失敗に繋がります。

この記事では、儲かる仕組みや失敗例、成功の条件、必要な資金といったハンバーガー屋経営の核心を掘り下げて解説します。

この記事で分かること

ハンバーガー業界の市場規模と成長の見通し
儲かる店に共通するビジネスモデルと強み
失敗する店舗のよくある特徴と原因
成功するための準備・戦略・差別化ポイント
実際に儲かっているハンバーガー屋の実例紹介

ハンバーガービジネスの市場規模と成長性

国内外におけるハンバーガー市場の現状

国内のハンバーガー市場は拡大傾向にあり、2023年のファストフード業界全体の市場規模は2兆円を突破しました。特に都市部では、グルメ系やクラフトバーガーの人気が高まりつつあります。海外ではアメリカを中心に、プレミアムバーガーが根強い人気を誇っており、日本にもそのトレンドが波及しています。

ファストフード業界の動向とハンバーガーの立ち位置

ファストフード業界全体の売上高は前年比で約6.4％増加しており、その中でもハンバーガー業態は安定した集客力を持っています。手軽で満足感のある食事という需要を満たす点が強みであり、ランチ・ディナー・軽食すべてのシーンで選ばれています。

個人店とチェーン店の競争環境

大手チェーンが強い影響力を持つ中で、個人経営のハンバーガー屋も差別化に成功すれば十分に勝機があります。例えば「THE GREAT BURGER」（原宿）は、カフェ的な空間とボリューム満点のメニューで独自ポジションを確立しています。逆に、コンセプトや価格帯が曖昧な個人店は集客に苦戦しやすいです。

ハンバーガーの単価と利益率の目安

ハンバーガーの平均単価は700〜1,500円ほどで、原価率は30〜35％程度に抑えやすいのが特徴です。特にドリンクやセットメニューを組み合わせることで、客単価の向上と粗利の確保がしやすくなります。定期的な価格見直しや原材料の見直しも利益率を高めるポイントです。

成功事例から見る成長可能性

実際に成功している店舗には、立地選定・メニュー設計・ブランディングの工夫が共通しています。たとえば「SHAKE SHACK」は、高価格帯でありながらファンを獲得し、継続的に出店を拡大中です。

価格だけで勝負するのではなく、「体験」や「価値」に重きを置いた展開が今後の鍵となります。

ハンバーガー屋が儲かる理由とビジネスモデルの強み

原価率のコントロールがしやすい

ハンバーガーの原材料は比較的シンプルで、原価率を30〜35％に抑えやすいのが特徴です。パティ・バンズ・野菜などは仕入れの工夫でコストを下げることが可能です。特に、同一食材を複数メニューに転用することで在庫ロスを抑えることができます。

少人数でも運営が可能

オペレーションが比較的単純なため、1〜2名での営業も実現しやすいです。ファストフード型の提供スタイルであれば、調理・提供・接客を分業せずに効率よく回せます。これにより人件費を削減し、利益率を高めることが可能です。

リピーターを作りやすい業態

ハンバーガーは嗜好性が高く、「お気に入りの味」を求めて通うユーザーが多いです。週に2〜3回訪れる常連客がいる店舗もあり、安定した売上につながります。限定メニューやセット割引などで再来店を促進する工夫も効果的です。

テイクアウト・デリバリーの需要に強い

コロナ禍以降、テイクアウトや宅配サービスの需要が急増しました。ハンバーガーは持ち帰りとの相性がよく、Uber Eatsや出前館などと提携することで新規客の獲得にもつながります。イートインに依存しない売上モデルが構築できる点も強みです。

SNS映えによる集客効果

ビジュアルにインパクトのあるバーガーはSNSでの拡散力が高いです。例えば「肉厚パティ×チーズたっぷり」のバーガーはInstagramで話題になりやすく、広告費をかけずに集客できます。

見た目と話題性を意識したメニュー開発が利益向上の鍵となります。

ハンバーガー屋が潰れる原因と失敗パターン

資金繰りと初期投資の過大化

最も多い失敗理由は資金ショートによる撤退です。店舗の内装や設備にこだわりすぎて初期費用が膨らみ、運転資金が不足するケースが目立ちます。特に開業初期は売上が安定しないため、半年分の運転資金を確保することが推奨されています。

立地選びの失敗

好立地を高額な賃料で借りたものの、ターゲット層と合わず集客に苦戦する例は珍しくありません。駅近だからといって成功するとは限らず、競合の有無や人通りの質、時間帯ごとの客層分析が重要です。立地は「賃料対効果」で判断すべきです。

メニューの差別化不足

他店との差別化が不十分だと、価格競争に巻き込まれやすくなります。特に大手チェーンと同じようなメニュー構成では、個人店の存在意義が薄れてしまいます。地域性や食材へのこだわりを打ち出すことが、差別化の鍵です。

経営者のマーケティング知識不足

「味に自信があるから」という理由だけで開業しても、集客がなければ売上は立ちません。SNS活用やチラシ、イベント企画など、顧客を知り、呼び込む工夫が不可欠です。マーケティングを「難しいもの」と敬遠せず、基本的な知識を身につけましょう。

衛生管理やオペレーションの問題

クチコミサイトでの悪評やSNSでの炎上は、店舗の存続に致命的な影響を与えます。

特に飲食店は衛生面に厳しい目が向けられるため、日々の清掃・スタッフ教育が不可欠です。また、混雑時の対応力や注文ミスの回避など、オペレーションの安定性も信頼を築く要素です。

成功するハンバーガー屋の特徴とは？

独自のコンセプトがある

成功する店舗の多くは、明確なコンセプトを持っています。たとえば「アメリカンヴィンテージ」をテーマにした店や、「地産地消の無添加バーガー」を前面に出す店などです。コンセプトが明確であればあるほど、顧客の記憶に残りやすく、リピーターにつながります。

原価と価格のバランス設計ができている

儲かる店舗は、原価率と価格設定のバランスが非常に優れています。具体的には、原価率30％前後を維持しつつも、価格以上の満足感を提供する商品設計がされています。利益を確保しながら、顧客満足度も落とさない工夫が重要です。

顧客体験を重視した店舗設計

単においしいだけでなく、居心地の良さや視覚的な演出もポイントです。インテリアや照明、BGMまで含めて世界観を作り込んでいる店舗は、口コミやSNSでの拡散率が高くなります。特に若年層をターゲットとする場合は、SNS映えの要素が欠かせません。

人材育成とスタッフの質

スタッフの対応が丁寧で気持ちの良い店舗は、自然とリピーターを増やします。成功店はマニュアル教育だけでなく、スタッフに店舗理念を共有し、接客力を高めています。また、離職率が低いため安定したサービス品質を維持できる点も強みです。

クチコミ・SNS活用が上手い

今の時代、ネット上の評価が店舗の命運を分けます。

成功している店舗は、SNSを使って新メニューを告知したり、ユーザー投稿を促進する仕組みを導入しています。また、Googleの口コミにも丁寧に返信し、「行ってみたい」と思わせる印象づくりを意識しています。

ハンバーガー屋開業に必要な資金と収支モデル

初期費用の内訳（物件・設備・仕入れなど）

開業に必要な初期費用は平均で500万〜1,000万円前後が相場です。内訳は、物件取得費（敷金・礼金）で100〜300万円、厨房設備・内装工事で200〜400万円、初回の食材や備品仕入れで50〜100万円などが目安です。立地や規模により大きく変動します。

月間売上と支出の平均モデル

都市部の平均的な店舗では、月商は150万〜300万円程度が一般的です。支出の内訳としては、人件費が30%、原材料費が35%、家賃・光熱費などが20%前後を占めます。月間利益は売上の10〜15％前後が目標となります。

利益を出すための売上目標

利益を安定して出すには、最低でも月商200万円以上を維持する必要があります。客単価を1,200円、1日あたりの来客数を60人と仮定すると、営業日25日で180万円の売上になります。ランチとディナーでバランスよく集客することが鍵です。

資金調達方法の選択肢

自己資金で賄えない場合は、日本政策金融公庫の創業融資や、自治体の制度融資が活用できます。また、クラウドファンディングを通じた資金調達も近年増加しています。事業計画の明確さと返済可能性が審査のポイントです。

フランチャイズと独立開業のコスト比較

フランチャイズの場合、加盟金やロイヤリティが発生するため、初期費用は高くなる傾向があります。一方、ブランド力やサポート体制があるため開業リスクは抑えられます。独立型は自由度が高い反面、販促や仕入れなどをすべて自分で構築する必要があります。

実際に儲かっているハンバーガー屋の実例紹介

UMAMI BURGER（東京・青山）

アメリカ・ロサンゼルス発の高級バーガーブランド「UMAMI BURGER」は、2017年に日本初上陸しました。“うま味”をテーマにした独創的なメニューが話題となり、オープン当初は1日500人以上の行列を記録。客単価は1,500円超と高めながら、リピーターの獲得に成功しています。

J.S. BURGERS CAFE（全国展開）

株式会社ベイクルーズが運営するJ.S. BURGERS CAFEは、ファッションと食を融合したライフスタイル提案型カフェとして人気です。季節限定バーガーやコラボ企画が豊富で、SNS映えするビジュアルが集客力を高めています。店舗によっては1日150食以上の売上実績があります。

SHAKE SHACK（東京・外苑前他）

ニューヨーク発のプレミアムバーガーブランド「SHAKE SHACK」は、洗練されたブランド戦略と高い味のクオリティで、日本でも急成長を遂げています。素材にこだわったパティとカスタム可能なメニューが支持され、1店舗あたり年間1億円超の売上を誇る店舗もあります。

THE GREAT BURGER（東京・原宿）

原宿に店舗を構える「THE GREAT BURGER」は、アメリカンカルチャーを全面に打ち出した内装とメニュー構成が特徴です。レトロな空間と肉厚バーガーのギャップがSNSで話題になり、平日でも常に客足が絶えません。観光客と地元客の両方をターゲットにした戦略が成功の鍵です。

FIRE HOUSE（東京・本郷）

1996年創業の「FIRE HOUSE」は、クラシックなアメリカンバーガーを日本に根付かせた先駆者的存在です。ハンドメイド感あふれる本格派バーガーが老若男女に支持されており、

創業から20年以上黒字経営を継続しています。

週末には行列ができる人気店です。

よくある質問（FAQ）

ハンバーガー屋の平均的な年収はどれくらい？

個人経営のハンバーガー屋では、年収300万円〜800万円程度が一般的です。月商や家賃、人件費などの固定費によって大きく変動します。黒字化までに1〜2年かかるケースもあり、短期的な利益よりも継続性が重視されます。

個人経営とフランチャイズ、どちらが儲かる？

利益率を重視するなら個人経営、安定性を求めるならフランチャイズが有利です。個人経営では自由度が高い一方、販促や仕入れに課題があります。フランチャイズではブランド力やノウハウを活用できますが、ロイヤリティが発生します。

立地はどこがベスト？駅近と郊外どちらが有利？

店舗形態やターゲット層によって変わります。テイクアウト中心であれば駅近が有利です。一方、駐車場付きの郊外店は家族連れに人気です。実際の店舗データでは、駅徒歩5分以内とロードサイド型の店舗が高い集客を維持しています。

競合との差別化ポイントは何がある？

「味」だけで勝負するのは危険です。

差別化には、ビジュアル性、ストーリー性、地域性のある食材などが有効です。たとえば「地元の黒毛和牛を使用」「グルテンフリーバンズ採用」など、記憶に残る要素がリピーター獲得に貢献します。

デリバリー専業ハンバーガー屋は儲かるのか？

デリバリー専業のゴーストレストラン業態は、初期投資が少なく参入しやすい反面、競争も激しいです。出前館やUber Eatsを利用する際は、手数料が売上の30％前後発生します。リピーター獲得には、包装の工夫や味の安定性が重要です。

経営未経験でもハンバーガー屋は成功できる？

成功は可能ですが、事前の学習と準備が必須です。飲食業は現場オペレーションだけでなく、マーケティングや資金管理も重要です。実際、料理経験ゼロから成功したオーナーもいますが、綿密な計画と継続的な改善があってこそです。

まとめ：ハンバーガー屋は戦略次第で大きな利益も狙える

ハンバーガー屋は、適切な戦略と準備があれば十分に儲かる業態です。市場は成熟しつつも、差別化の余地が大きく、新たな参入者にもチャンスがあります。

一方で、失敗する店舗には共通した落とし穴も存在します。資金管理、立地選び、メニュー設計、マーケティング——これらの要素をどれだけ精度高く設計できるかが、経営を左右します。

本記事で紹介したように、成功している実例には「明確なコンセプト」や「顧客体験の重視」「SNS活用」「利益設計の工夫」など、多くのヒントがあります。

勢いだけの開業は危険ですが、冷静な準備と継続的な改善を重ねれば、十分に黒字経営が可能です。

店舗の大小にかかわらず、「選ばれる店づくり」に徹することが、ハンバーガー屋で成功する近道です。