漁師の年収ってどれくらい?

漁師という職業には、「厳しいが夢がある」というイメージがある一方で、実際の年収や生活スタイルについてはあまり知られていません。近年では、若者の間でも「漁業で高収入を得たい」と考える人が増えており、ネット上では「どの漁業が一番稼げるの?」という疑問が多く見られます。

結論から言えば、漁業の種類によって年収には大きな差があります。中には年収1000万円を超える漁師も実在しており、場所・方法・戦略次第で十分に高収入を目指せる業界です。

しかしその一方で、「きつい」「不安定」といったイメージから二の足を踏む人も多いのが現実です。本記事では、漁師の年収事情をランキング形式で分かりやすく解説し、「儲かる漁業」とは何かを具体的に紐解いていきます。

あなたの「海で生きていく」という選択が現実になるためのヒントが、この記事には詰まっています。

この記事で分かること

  • 2025年最新版の漁師年収ランキングTOP10
  • 稼げる漁業の特徴と儲かる理由
  • 地域別に見る年収の傾向と格差
  • 未経験から漁業で成功するためのステップ
  • よくある疑問とその回答(FAQ)

漁師の年収はなぜ気になる?その背景と現状

漁師の収入が注目される理由とは

近年、「地方で稼げる仕事」として漁師の収入が注目を集めています。特にテレビやSNSで「年収1000万円超の若手漁師」が紹介されることで、若年層を中心に関心が高まっています。都市部のサラリーマン平均年収が約458万円(国税庁・2023年調査)に対し、一部の漁業ではそれを大きく上回る事例もあり、憧れを持つ人が増えているのです。

若者に人気が高まる「海の仕事」

「自然と向き合いながら働ける」「自分の手で稼げる」という魅力がある海の仕事は、特に20〜30代に支持されています。農業や林業よりも初期投資が少なく、研修制度や地域支援も充実しているため、未経験者にも挑戦しやすい環境が整っています。

過疎化と後継者不足が与える影響

漁業の担い手は年々減少しており、平均年齢は58.4歳(農林水産省 2024年発表)に達しています。この後継者不足が逆に新規参入のチャンスとなっており、地域によっては収益性の高い漁場を若手が引き継ぐケースも出ています。

公開されている漁業の平均年収データとは

日本の漁業従事者の平均年収は、おおよそ300〜500万円とされていますが、これはあくまで全体平均に過ぎません。実際には漁業の種類や漁場、販売ルートによって年収に大きな格差があります。例えば、遠洋マグロ漁では年収800万円を超えることもあります。

メディアに取り上げられた高年収漁師の実例

2023年にNHKの特集で紹介された北海道・函館の若手漁師は、ホタテ養殖と直販を組み合わせ、年収1200万円を達成しました。このような事例は他にも増えており、地方でも「稼げる漁師」が確実に存在しています。

平均的な印象とは裏腹に、漁業は工夫と努力で収入を大きく伸ばせる可能性を秘めた職業です。

【2025年最新版】漁師の年収ランキングTOP10

年収が高い漁業の特徴とは?

年収が高い漁業には、「市場価格の高い魚種」や「リスクの高い漁法」が共通しています。例えばクロマグロやズワイガニなどは需要も価格も高く、漁に成功すれば数百万円単位の利益が出ることもあります。一方で、遠洋漁業や冬季の海上作業など、危険と隣り合わせの仕事である点も収入の高さと無関係ではありません。

1位:クロマグロ漁業(延縄漁法)

クロマグロは1尾あたり数十万円〜100万円を超えることもあり、延縄(はえなわ)漁法で狙うケースが多いです。高知県や青森県大間町では、年収1000万円を超える漁師も存在すると報告されています。海外輸出や寿司市場向けに高値で売れるのが特徴です。

2位:カニ漁(ベーリング海などの遠洋漁業)

北海道やアラスカ沖で行われるカニ漁は、命がけで稼ぐ仕事として知られています。日本でもオホーツク海などでズワイガニやタラバガニを狙う漁が盛んで、年収800〜1200万円を得る例も。冬季の漁が多く、短期集中型の収入構造です。

3位:ホタテ漁(北海道の養殖)

ホタテ養殖は北海道の代表的な高収入漁業です。網走や猿払村では、1年を通して出荷できる体制を整えることで安定した収入を確保しています。法人化や共同経営も進み、個人での年収は600〜900万円台と報告されることもあります。

4位:ウナギ漁(天然ウナギと養殖の違い)

ウナギは国内外で需要が高く、特に天然ウナギは希少性ゆえに1kgあたり数万円で取引されることもあります。ただし、

漁獲量に厳しい制限があるため、免許と管理体制が必須です。

一方、養殖は設備投資が必要ですが、収穫までのコントロールが可能で、収益性は安定しています。

5〜10位:その他高年収の漁業を一挙紹介

以下の漁業も高年収が期待できます。

  • アワビ・サザエなどの高級貝類漁(地域限定)
  • ブリの養殖(鹿児島・長崎など)
  • ナマコ漁(冬季中心)
  • サンマ漁(東北エリア)
  • シラス漁(駿河湾や紀伊半島)
  • クラゲ輸出漁(中国市場向け)
いずれも市場価格が高く、設備や技術次第で年収700万円以上を目指せる分野です。

稼げる漁業の共通点と成功の秘訣

魚種の価値と市場価格の影響

漁業の収益は獲る魚の価値に大きく左右されます。例えばクロマグロやウナギ、アワビなどは市場で高値で取引されるため、同じ漁獲量でも収入に大きな差が出ます。近年は輸出向け高級魚の需要が増えており、それに対応できる漁業は年収アップが期待できます。

漁法・設備投資による収益性の差

同じ魚を狙っていても、漁法や使用する設備で収益に差が出ます。延縄漁や定置網漁は初期投資が必要ですが、安定した収穫と効率の良さが特徴です。一方、小規模な一本釣りは安定性に欠けるものの、コストを抑えやすい利点があります。

海外輸出とブランド化の収入アップ効果

地元での販売だけでなく、海外輸出やブランド化によって収入を大きく伸ばしている漁業もあります。たとえば北海道のホタテや鹿児島のブリは海外市場でも高評価を得ており、1kgあたりの単価が2倍以上になることもあります。直販サイトや海外バイヤーとの連携も成功のカギです。

家族経営と法人化のメリット・デメリット

家族経営は人件費が抑えられ、柔軟な運営が可能です。しかし大規模化には限界があります。対して法人化すれば設備投資や補助金の活用がしやすくなり、雇用を増やして事業拡大も狙えます。ただし責任や管理業務が増えるため、運営能力が問われます。

リスクを抑えるための工夫と知恵

漁業は天候や海洋資源の変動など不確定要素が多く、常にリスクと隣り合わせです。安定収入を得ている漁師は、以下のような工夫をしています。

  • 複数の魚種・季節で漁を分散する
  • 加工・販売まで一貫して行う6次産業化
  • データを活用した漁場選定や航海管理

「ただ魚を獲る」だけでなく、戦略的な視点を持つことが安定収益の鍵です。

地方別・漁業年収の実態と格差

北海道の漁業収入と強み

北海道は日本最大の漁業生産地として知られています。ホタテ、昆布、サケ、マスなどの漁獲量が多く、特にオホーツク海沿岸のホタテ養殖は非常に収益性が高いです。2023年の道内ホタテ生産者の年収は平均750万円以上という報告もあります。ブランド力と海外輸出の両輪が、収入を底上げしています。

瀬戸内海エリアの養殖漁業の収益力

瀬戸内海ではブリやハマチの養殖が盛んで、兵庫・愛媛・広島などの県で漁業所得が安定しています。養殖業は天候リスクが少なく、一貫出荷による収入の見通しが立てやすいのが特徴です。法人化された漁業者の中には年商1億円を超える例もあります。

沖縄・九州の特殊な漁法と年収傾向

沖縄や九州ではモズク養殖や海ぶどう、サンゴ礁近辺での一本釣り漁が主力です。特にモズクは沖縄の特産品として国内外に出荷され、養殖面積と流通網を確保した事業者は高収入を実現しています。一方、収穫時期が限定されるため、他の漁と併用する工夫も見られます。

東北エリアのホタテ・サンマ漁の収入実態

東北地方では青森・岩手・宮城を中心にホタテやサンマ漁が行われています。近年、サンマの不漁が続いている一方で、養殖ホタテは安定収入の柱となっています。特に八戸港周辺では、組合単位での出荷と販売体制により、年収600万円を超える事例もあります。

都市圏との流通距離が与える影響

漁業において都市部へのアクセスは収益に直結します。関東近郊の千葉や静岡では、朝獲れの鮮魚を都内に即日出荷できる利点があり、高単価での取引が可能です。

一方、遠隔地では輸送費や時間のロスが大きく、価格競争に巻き込まれやすい傾向があります。

このような立地条件が、地方ごとの年収格差を生む一因になっています。 

未経験でも稼げる?漁業で成功するためのステップ

新規就業者向け支援制度とは

漁業は経験者でなくても挑戦できる仕事です。国や地方自治体では、「漁業就業支援事業」や「移住支援金」などの制度を提供しています。たとえば、北海道では最大200万円の移住支援金、宮崎県では新規漁業者に対して研修費用の全額補助が行われています。

研修・インターン制度の充実度

漁業に飛び込む前に、短期のインターンや見学プログラムを体験できる地域が増えています。全国漁業就業者確保育成センターが開催する「漁業就業支援フェア」では、漁協や事業者と直接話す機会もあり、具体的な働き方や年収モデルを知ることができます。

独立・起業のために必要な資金とノウハウ

漁業で独立を目指す場合、初期費用として500万円〜1000万円程度が必要です。船舶・漁具・冷蔵設備などの購入資金が主な内訳です。ただし、漁業者向けの低金利融資や助成金も整備されており、準備さえ整えば未経験でも起業が可能です。

覚えておきたい危険と安全対策

漁業は自然と向き合う仕事であり、

波・天候・機械操作など、常にリスクと隣り合わせです。

そのため、ライフジャケットの着用や無線通信、GPS機器の導入など、安全管理は欠かせません。未経験者は特に、初期段階から安全知識を徹底して学ぶ必要があります。

SNSやYouTubeで発信する漁師も増加中

最近では、SNSやYouTubeで情報を発信する若手漁師が増えています。漁の様子や獲れた魚の紹介、直販までの流れを公開することで、ファンを獲得し販路拡大にもつなげています。ブランディングと集客を同時に実現する新しい漁師像が確立しつつあります。

よくある質問(FAQ)

漁師になるには資格が必要ですか?

基本的には漁師になるために特別な資格は不要です。ただし、船舶の操縦を行う場合は「小型船舶操縦士免許」が必要です。漁協の組合員として登録する際にも、一定の書類や講習の受講が求められることがあります。事前に地域の漁協や支援団体に確認しておくと安心です。

漁業協同組合とは何をする組織ですか?

漁業協同組合(漁協)は、地域の漁師が共同で運営する団体です。漁業資源の管理、販売ルートの確保、漁場の調整などを行います。新規就業者のサポート制度や補助金申請の窓口としても重要な存在です。加入には一定の審査や費用が必要になるため、詳細の確認が欠かせません。

一年中収入が安定している漁業はありますか?

季節による変動が大きい漁業ですが、養殖業や複数魚種の漁を組み合わせることで収入の安定化が可能です。たとえば、愛媛県の養殖ブリ業者では月収が一定しており、年収600万円を超えるケースも報告されています。加工・販売まで自営することでさらに安定性が増します。

女性でも漁師として働けますか?

もちろん可能です。実際に全国で女性漁師の数は増えており、「海女」や「家族経営の乗組員」として活躍する例が多く見られます。力仕事が多い分野もありますが、軽作業や販売・加工業務など多様な役割が存在します。女性向けの研修制度を設ける地域も増加中です。

漁師は副業としてできる仕事ですか?

副業としての漁業は、地域や対象魚種により可能な場合もあります。たとえば、内湾でのシラスやワカメの採取は早朝のみの作業が多く、本業との両立が可能です。ただし漁業権の取得や漁協への加入が必要になるケースが多いため、事前確認が重要です。

漁師の年金や社会保障はどうなっていますか?

個人事業主として活動する場合、国民年金と国民健康保険に加入するのが一般的です。また、

漁協を通じた共済制度や労災保険に加入することで、より手厚い保障を得ることが可能です。

法人化して従業員として働く場合は厚生年金や雇用保険の適用対象となります。収入形態により加入制度が異なるため、しっかりと制度を把握しておきましょう。 

まとめ:漁師は「夢がある仕事」!収入を左右するのは戦略次第

漁師という職業は、一見すると厳しい自然環境と隣り合わせの大変な仕事という印象が強いですが、選ぶ漁業の種類や地域、取り組み方によっては高収入を目指せる職業です。特に近年では、SNS発信や海外輸出、ブランド化などを活用して、戦略的に収入を増やす漁師が増えています。

また、未経験者向けの支援制度や研修体制が整っており、「ゼロから漁師になって安定収入を得る」という道も現実的になっています。地域の漁協や行政と連携しながら、自分のスタイルに合った漁業を選択することが成功の近道です。

この記事で紹介した内容を簡潔にまとめると、以下のようになります。

  • 年収1000万円以上も狙える漁業は実在する
  • 魚種・漁法・販路で収入が大きく変動する
  • 地域別の格差や漁場の特性を把握することが重要
  • 未経験者にも開かれた支援制度と成功事例がある
  • リスク管理と情報発信が新時代の漁師像を作る

単に「魚を獲る」だけでなく、「どう稼ぐか」を設計する力が、これからの漁師にとって最も重要なスキルです。

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