カニ漁師の年収は本当に高い？リアルな給料事情を徹底調査！

2025年5月9日金曜日

漁業

カニ漁師の年収は本当に高い？気になる実態をわかりやすく解説

「カニ漁師って稼げるって聞くけど、本当なの？」そんな疑問を持つ方は少なくありません。テレビ番組やSNSでは「月収100万円以上」などと紹介されることもあり、カニ漁＝高収入というイメージが先行しがちです。

しかし、実際の収入には大きな差があり、環境や経験によって大きく変動します。労働環境は過酷で、命の危険と隣り合わせになることもあります。

華やかな一面だけで判断するのは危険です。本記事では、現場のリアルを徹底的に解説します。

これからカニ漁師を目指す方、転職を検討している方、単に興味がある方にも有益な情報をお届けします。

この記事で分かること

カニ漁師の年収・手取りのリアルな数字
カニ漁の仕事内容と危険性
稼げる漁師とそうでない漁師の違い
実際に働く漁師の声や体験談
漁師になるための方法と必要な資格

カニ漁師の仕事内容とは？危険な現場のリアル

カニ漁の主な作業内容と一日の流れ

カニ漁は、夜明け前に出航し、海に設置したカゴを引き上げる作業から始まります。カゴにはエサが入っており、ズワイガニやタラバガニなどがかかります。1日に数百個のカゴを回収することもあり、重労働が長時間続くことが一般的です。作業後はカニの選別や冷蔵・出荷準備が続き、帰港は夕方以降になります。

対象となるカニの種類（ズワイガニ・タラバガニなど）

主に漁獲されるのはズワイガニ、タラバガニ、毛ガニの3種です。ズワイガニは冬場に需要が高く、高値で取引されるため人気があります。タラバガニは大きさゆえに高単価で、冷凍保存されて海外にも輸出されます。毛ガニは身が甘く、国内での消費が多い傾向です。

漁のシーズンと海域

ズワイガニ漁は例年11月〜3月、タラバガニは12月〜1月が中心です。日本では北海道沖、日本海側の沖合、オホーツク海などが主要な漁場です。漁期は各県の漁業協同組合が厳しく管理しており、資源保護のために操業ルールが定められています。

天候や海象との戦い

冬場の日本海やオホーツク海は天候が急変しやすく、高波や吹雪が頻発します。特に沖合での操業は船の揺れも大きく、船酔いや作業中の転倒リスクが高まります。気温は氷点下になることも多く、防寒対策が必須です。

乗組員の人数とチームワーク

カニ漁船には通常4〜10人程度の乗組員が乗り込みます。カゴの投入・引き上げ・カニの選別など作業は分担制で、チームワークが収益に直結します。漁師同士の信頼関係が重要で、未経験者でもサポート体制が整っている船も存在します。

カニ漁は危険を伴う過酷な仕事ですが、高収入の可能性と海で働く魅力も兼ね備えた職業です。

カニ漁師の平均年収と手取り額の実態

新人とベテランでの収入差

カニ漁師の年収は、経験年数によって大きく異なります。新人のうちは年収300万円前後が一般的ですが、ベテラン漁師になると年収800万円以上も珍しくありません。10年以上の経験を積んだ漁師の中には、年収1,000万円を超えるケースも確認されています。

月給制・歩合制・日給制の違い

カニ漁の収入形態は主に3パターンあります。月給制は安定収入が見込める反面、繁忙期でも上限があります。歩合制は漁獲量に応じて収入が決まるため、大漁であれば一攫千金も可能です。日給制の場合は1日1万5,000円〜2万円程度が相場で、1ヶ月で30万円以上稼ぐこともあります。

年収に幅がある理由とは？

年収のばらつきには複数の要因があります。操業エリアのカニの豊富さ、漁船の設備、乗組員のスキルなどが影響します。地域によっては不漁が続く年もあり、年収が半減することもあるため、収入の安定性には注意が必要です。

税金や保険、経費などの控除後の手取り額

額面上は高収入に見えても、実際の手取り額はそれより少なくなります。国民健康保険、年金、自営業としての経費などが差し引かれ、手取りは年収の7割程度になることが一般的です。例えば年収700万円の場合、実質の手取りはおよそ500万円前後になります。

年間で稼げるピーク月と閑散期

カニ漁のピークは冬期、特に12月〜2月です。この時期は漁獲量も需要も増えるため、月収が100万円を超えることもあります。一方で閑散期は夏場が中心で、収入がほぼゼロになることもあります。その間は別の仕事に就く漁師も多く、兼業を前提とする人も増えています。

年収が高い職業であっても、実際の生活設計には収入の波を考慮する必要があります。

高収入を稼げる理由とその裏側

高リスク・高リターンの職業である理由

カニ漁師は、自然と常に向き合う危険な仕事です。強風や高波の中でも操業を行うため、命がけの現場であることが高収入の背景にあります。特に冬の日本海は荒れやすく、毎年数件の事故も発生しています。

天候や遭難など命の危険性

低気圧や季節風の影響で、波の高さが5mを超えることもあります。こうした環境下での作業は滑落や転倒、船の転覆といったリスクと常に隣り合わせです。安全装備の着用や漁船の最新設備が普及してきていますが、それでも100％の安全は保証されません。

重労働・長時間労働の実情

漁のピーク時は深夜から出港し、丸一日以上船上で作業を続けることもあります。体力的・精神的にハードな環境であり、特に新人には厳しい現実が待っています。カゴの引き上げ作業では、1個30〜50kgの重さを繰り返し扱うことも少なくありません。

海外（アラスカなど）のカニ漁との違い

アメリカ・アラスカのカニ漁はテレビ番組「デッドリ―・キャッチ」などでも知られ、年収1,000万円を超えるケースもあります。日本の漁師と比較すると、報酬は高いですがリスクもより大きいです。漁期の短さや作業密度、国の保険制度の違いもあり、単純な比較はできません。

メディアが伝える“華やかさ”とのギャップ

テレビやネットでは「年収1,000万円」や「短期間で高収入」などのイメージが先行しています。しかし実際には、

過酷な労働と不安定な収入がセットである

ことを忘れてはいけません。夢を持ってこの世界に入っても、現実に直面して辞める若者も少なくないのが実情です。

実際に稼げている？現役カニ漁師のリアルな声

実在の漁師インタビューから見る年収実例

北海道の漁師・佐藤さん（仮名）は、ズワイガニ漁で年収900万円を達成しています。乗船歴15年で、現在は船長代理として活躍中です。「冬場は月に100万円以上稼ぐ月もある」と話しており、繁忙期の集中収入が収益の鍵となっています。

収入以外のやりがいや苦労

漁師の魅力は「自然と向き合える仕事」だという声もあります。一方で、睡眠時間の少なさや天候のストレス、肉体的疲労の蓄積は避けられません。仲間との連携や達成感を重視する人にとっては、やりがいのある仕事です。

若手の漁師が減っている理由

全国的にカニ漁師の高齢化が進んでいます。原因は「労働の過酷さ」と「安定性の欠如」です。20代の就業者は全体のわずか5％以下とも言われ、若手育成は業界全体の課題となっています。

家族との関係やプライベートへの影響

長期出漁のため、家族と過ごす時間が取りにくいという課題もあります。特に小さな子どもを持つ家庭では、家庭との両立が難しいという声もあります。ただし、冬のシーズンが終わると長期休暇が取れることもあり、リズムを理解すれば両立は可能です。

SNSやYouTubeで発信するカニ漁師たちの存在

最近ではInstagramやYouTubeで仕事の様子を発信する若手漁師も増えています。実際に「カニ船の1日」と題した動画は10万再生を超えるなど注目を集め、漁師の魅力を広める新たな手段となっています。

リアルな現場の声は、カニ漁師という仕事を正しく理解する上で非常に重要です。

これからカニ漁師を目指す人が知っておきたいこと

どうやって漁師になれる？就職・独立の流れ

カニ漁師になるには、漁業を営む船主や会社への就職が一般的です。特に北海道や鳥取県などの港町では、求人募集が頻繁に出ています。未経験でも受け入れている船も多く、まずは見習いとして乗船し、経験を積むのが基本です。

必要な資格や船の免許

漁師になるために特別な資格は不要ですが、操縦士を目指すなら小型船舶免許（二級以上）が必須です。また、安全講習や漁業就業支援センターが実施する基礎研修を受けておくと、現場での評価も高まります。

未経験者が入りやすい地域や船団

北海道の根室市や稚内市、鳥取県の境港市などは、新規就業者の受け入れ体制が整っている地域です。漁業協同組合や自治体が就業支援を行っており、住宅補助や生活費支援を受けられる制度もあります。

体力・精神力の重要性

カニ漁は過酷な環境下での作業が多く、高い体力と精神的なタフさが求められます。船上では睡眠時間も短く、波による揺れに耐えながらの作業になります。日頃からの体力作りやストレス耐性は、長く働く上で欠かせません。

女性や外国人の就業事例はある？

近年では女性や外国人の乗船事例も増えています。特にパートタイムでの仕分け作業や港での補助業務では、女性スタッフも多く活躍しています。外国人労働者の受け入れについても、技能実習制度を活用した受け入れが拡大中です。

漁師を目指すなら、体力や覚悟だけでなく、制度や支援の活用も大切です。

他の漁業職と比較！カニ漁師の収入は高いのか？

マグロ漁師やカツオ漁師との年収比較

カニ漁師の年収は、他の遠洋漁業に比べても高い傾向があります。マグロ漁師の年収は平均で500万〜800万円前後ですが、歩合制や遠洋航海によって変動が激しいです。カツオ漁師は年収400万〜600万円が相場で、カニ漁の収入には及ばないケースが多く見られます。

沖合漁業・沿岸漁業との違い

沖合漁業はまとまった収入が見込めますが、長期間の航海と危険性が伴います。対して沿岸漁業は家庭との両立がしやすい反面、収益は低めで、年収300万〜450万円前後に落ち着く場合が多いです。カニ漁は沖合に出ることも多く、リスクと収入が比例する構造です。

海外のカニ漁師との報酬差

アメリカ・アラスカ州のカニ漁師は、短期集中型で年収1,000万〜1,500万円以上を稼ぐことがあります。高報酬ですが、遭難や凍死のリスクも高く、死亡事故がニュースになることも珍しくありません。日本のカニ漁師は、これより報酬は劣るものの、制度面での安全性や生活の安定が確保されています。

水産加工業との収入・働き方の違い

水産加工業は、漁獲されたカニを選別・冷凍・梱包する仕事です。年間を通じて安定した勤務が可能で、月収は20万〜30万円前後が一般的です。危険が少ない代わりに年収は控えめで、家庭重視の方に向いています。カニ漁師との収入差はおおよそ2〜3倍に及びます。

漁協職員や港湾労働者との待遇比較

漁協職員は公務に近い安定職で、年収は350万〜500万円ほど。港湾労働者も日給ベースで働き、平均年収は400万円前後です。安定性や福利厚生は整っている反面、大きな収益を狙うのは難しいです。高収入を求めるなら、リスクを受け入れてカニ漁に挑戦する価値があります。

カニ漁師は、漁業界の中でもトップクラスの報酬水準を誇りますが、それには相応の覚悟と努力が求められます。

よくある質問（FAQ）

カニ漁師の初任給はどれくらい？

初任給は地域や船団によって異なりますが、日給1万円〜1万5,000円程度が一般的です。月収換算で20万円〜30万円前後が目安となります。ただし、歩合制の船では漁獲量によって大きく変動することもあります。

冬以外の季節は何をしているの？

ズワイガニやタラバガニの漁期は冬が中心のため、夏場は休漁期間になるケースが多いです。その間は別の漁（イカ漁やウニ漁など）に従事したり、港湾作業や観光漁業に携わる漁師もいます。副業で生計を立てる人も少なくありません。

カニ漁で事故や遭難のリスクはどれくらいある？

国土交通省のデータによると、年間に20件前後の漁船事故が発生しています。特に冬の日本海は波が高く、滑落や転覆などのリスクが高まります。ライフジャケットの常時着用や船の最新装備が義務づけられており、安全対策は年々強化されています。

実際にどの地域で働くのが稼ぎやすい？

北海道の根室市、稚内市、網走市、また鳥取県の境港市などは、カニの水揚げ量が多く、高収入を狙いやすい地域です。これらの地域では大型のカニ漁船も多く、歩合制での収入アップが見込めます。

カニ漁の仕事は年齢制限がある？

年齢制限は明確に設けられていませんが、体力が必要な仕事であるため、30代〜40代が主な採用層となっています。50代以上でも経験があれば現場で活躍している例はあり、実力重視の世界とも言えます。

資格や免許がなくても働けるの？

乗組員として働く場合、資格や免許は基本的に不要です。ただし、将来的に操縦士を目指すなら小型船舶免許が必要になります。未経験からのスタートでも、現場で経験を積みながらキャリアアップが可能です。

カニ漁の仕事には魅力もリスクもあります。事前に正確な情報を知ることが、後悔しない選択につながります。

まとめ：カニ漁師の年収は高いが、リスクと覚悟が必要

カニ漁師は一般的に高収入が期待できる職業です。実際に年収700万〜1,000万円を超える漁師も存在し、短期間で大きく稼げる仕事として注目されています。

しかし、その裏には危険を伴う作業や、長時間の重労働、自然環境との戦いといった現実があります。特に冬季の日本海では遭難や転覆のリスクも高く、心身ともにタフさが求められます。

また、年収の波が激しいことも特徴で、安定収入を望む方には不向きかもしれません。そのため、家族との生活や長期的なキャリア設計を踏まえた上で、しっかりとした覚悟を持つことが必要です。

とはいえ、自然とともに働く喜びや、仲間と支え合うチームワークに魅力を感じる方には、大きなやりがいを得られる仕事でもあります。

年収は実力と環境次第で大きく変動
命の危険を伴う場面もあるため慎重な判断が必要
資格なしでも始められるが、体力と継続力は必須
地域によって稼ぎやすさに差がある
将来は独立や多漁種への展開も可能

「稼げる」という言葉だけにとらわれず、リアルな現場の姿を理解した上で進路を検討しましょう。